人、モノ、コト

 

先日、ある海外の有名メーカー様のモノへの

思いをお聴きする機会がありました。

 

製品開発には、何度も試行錯誤を繰返し、

デザイナーではなく、エンジニアの方が

創り出す製品を大切にされていました。

 

また、製品を表現する広告には、人を映し出す

コトを最小限にとどめているとの意向をお聴きして、

とても、潔く、信念を貫かれる姿勢に感動しました。

 

ただ、そのお話をお聴きしてやはり、私はそのメーカー様の

商品を購入させて頂きたいとは思えなかったのも事実です。

 

仕事への姿勢や、信念にはとても「職人」として感動を覚え

ましたが、自身とは原点が違っていたようです。

 

人はいつから道具を使うようになり、また、その道具は

誰の為に、何のために創り出し、提供しているのだろうか?が、

自身がいつも自問自答する問いかけであり、この貴重なお話は、

その答えではなかったからです。

 

人がもし、ただ生きるためだけに、生活を送っているのならば、

優れた道具の開発や提供は、今後も必要なのでしょうか?

 

自身の母が、妻が、兄弟姉妹が、疲れた体で心地よい生活空間と

なるように、掃除、洗濯、食事を提供してくれているのであるならば、

そうした思いを大切に、少しでも軽減できるツールを届けてあげたい。

そうした思い逢いが、モノ創りの土台となり、発展してきたように、

私は感じているからです。

 

時間に縛られないお掃除ロボットを例として考えた時、

とても利便性が高く、コンパクトで良いのですが、

人を補佐するべきロボットなのに、逆に、お掃除して

くれるロボットのために、重くて幾つもある、ダイニング

テーブルの椅子をテーブルに上げ、邪魔にならないように、

人が配置する?それって、なんだか、違っているようで、

違和感を感じます。

 

そうした手間と、モノの上げ下げは、毎日、掃除、洗濯、

家事と子育てに追われる女性には、体力的にも疲れるし、

面倒でもあります。そうした製品は便利なようで、なんだか、

機械を人間が補佐する状態であり、人を補佐してくれるための

ツールではないように、私は感じるのです。

 

そうした補佐しなければならない機器を使うよりも、

または使うなら、女性よりも力のある男性が楽しく家事を

お手伝いできるような商品にシフトされるとか、子共さんが

お手伝いしたいと言ってくれる、そんな家電を多く、

ご提供いただけたら、女性は嬉しいように感じました。

 

また、ある家電開発のお話でもそう感じました。

 

ワーキングママをターゲットとした商品開発では、

仕事帰り後の調理で、冷凍食品の解凍はとても時間が

かかり面倒というお声を拾われたそうです。

そのお声から、冷凍食材調理時短課題を解決する商品を

提案するには、男性エンジニアの方を説得しないと

いけなかったというお話をお聴きしました。

その説得後に、製品開発された商品は、女性に大変好評

だったとお聴きしました。ここにも、私は疑問点があります。

 

冷蔵庫を一番活用されるのは今でも、女性が多いと思います。

それなのに、女性向けの商品開発に、女性のご意見を取り入れず、

男性が納得するまで説明しないといけない?。。。そうした開発方法は、

皆さまの大切な家族や友人知人との貴重なお時間を、逆に無駄にされて

いないでしょうか?

 

アパレルの世界では圧倒的に女性の意見が活用される事が多かったので、

私には、とっても不思議なお話でした。ただ、今のアパレルの業界でも、

感性や女性ならではの意見よりも、利益率や、顧客データーを重視しすぎて、

問題が多くなってきているのかもしれません。また、女性の意見を取り

入れすぎて、在庫過多になった経緯も一部ではあります。

 

ですが、私達世代のデザイナー・パタンナーさん達は、過剰な型数となる

デザイン、型紙作成は断固として闘い、断ってきました。

ただ単純に、何気に好きな絵や、線を描いているのではなく、女性ならではの

バランス感覚を捉えたアイデア、型紙の数値出しはとても、時間がかかるのです。

アパレルは好きでないと勤まらないと言われたのは、そうした大切な思いで

創り出してきたため、夜中までのサービス残業が普通となり、伝えられてきた

言葉です。ですが、今は、何のために業務を行うのか?と言う方向性がズレて

しまい、違う意味になっていると思います。

 

多分、男性のエンジニアの方々も、好きだからこそ、設計、加工の難しさを

知らない、女性だけの意見で企画された商品開発、そんな何が出来ないのかを

1から説明しなければならない、面倒で、ロスの多い無駄な作業はしたくないと

思われたかもしれません。私達も、普通に見えるシルエットを自然に、構築的な

フォルムに魅せるために、どれだけの時間をかけて商品化しているかを、絵も、

型紙を描けない営業の方に説明するのが面倒だと、思うことが多々ありましたから。。。

 

そんなバトルが、アパレルの企画会議でもよく起り、営業の男性の方と

先輩デザイナーさんとの間で討論されてきた議題に似ているのですが、

女性デザイナーさんのライフスタイル提案の経験値が高く、数字に強い

営業の方が団結すると、良い商品企画となっていたので、やっぱり、

モノ創りには、適材適所と、バランス感覚が大切なように感じます。

 

こうしたお話しや、これまでの経験からも、男性の素敵なアイデアや

商品開発で、ご家族を幸せにしていただくには、家事を奥様とご一緒に

行って欲しいと思うのです。言葉でお伝えするよりも、実際に同じように

育児と家事にと、時間に追われる中、何がどの様に、面倒で、利便性が

低いのかを体験していただくのが、1番早いのですが。。。

ただ、男性の家事はどうしても、お仕事と同じ様に、Designや、機能性に

考えが偏りがちなので、この方法も、やっぱり難しいかな~?と思う、

今日この頃です。

 

男性と女性では、筋力、身体構造からして異なりますし、また、女性が

重視されるのは、育児と家事とのバランスがとれる、効率性と、安全性、

簡易性だと思えるので。。。素人ながら勝手に思えた問題点ですが、

この生まれながらの心身の構造を理解し、双方にとってより良い環境を

創り出すのが、一番、難しいコトだと自身の家族を通じて、実感しております。

 

本当は、昔のようにお盆と、年末などの時期に大掃除を町全体が行事的に

行いながら、自宅では、親子2世帯共同で行い、それぞれの思いや、苦労を

共感できる時間や時期、ご年配の方の知恵を伝えていただける環境が、

必要なようにも感じます。その時に互いに今困っているコトや、無理をしている

姿を見聞きできれば、素敵な商品の企画や、購入に繋がるように感じます。

ただ、そんな少しのゆとり時間を持てないほど、現代社会は、ライフスタイル

提案が、一番難しとお聴きしました。

 

ですが、家族を大切に思い、創りあがった商品が、世代を通じて大切にして

頂けるほど長持ちしてくれたなら、環境にも優しくまた、同じメーカー様で

別の商品での購入も考えるように、私は思えるのです。そう感じるのは、

やはり、他界した父が掃除好きで、妻の仕事を少しでも軽減できるような

道具を購入し、修理店が近くにあるメーカーさんをとても好んでいたからです。

今もそのメーカーさんを、一番活用させて頂いていますので。

 

家電のように、難しい商品をご提供させて頂くコトは出来ませんが、

そうした家族としての、大切な思い出も創り出せるような、

モノ・コト創りを、少しずつでも、ご提供できるようになりたいと、

今も「夢」を追っている、私だけの思いかもしれません。